「自分は何かが見える。前世の記憶とか未来とか。少しだけわかる」
「うわ。ホラ吹き」「マジで言ってたら引くわー」
「あの花から懐かしい命を感じる。私はあの花を、知っている」
「頭のおかしい子だ」「シーッ。見ないふり見ないふり」
===遥か遠い銀河に住む者たちの会話===
「天の川銀河・太陽系の地球は、実に興味深いな」
――そうだね。
「地球人は、宇宙について少しは知っている。地球の形が丸いってことも、ほかの惑星が丸いってことも知っている。なのに時の流れが丸く構成されてるとは気づかない。私たちは生まれたときから知ってるのに。不思議だ」
――ああ、不思議だね。
「宇宙のすべては、もちろん地球も、一定の物語を永遠に繰り返すんだ。地球と同じ太陽系の、土星の環の上を走るみたいに。この周は人間として、この周は動物として、この周は昆虫として、この周は植物として、この周は光として」
――基本のきだね。
「前の周では、私は君で、君は私だったのは、だれに教えられなくても知っていること。私はそのように大地に根を張ってたたずんでいたし、君は今の私のように大地を駆け抜けていた」
――何を今さらって話だね。
「地球人は、私たちのように悟るチカラはない。時間を一方向と思ってる。丸い真理が見えてない。たまに見える者がいても、変人・嘘つきと排除される。金稼ぎや支配のために嘘をついて見えるフリをしてる者も実際にいる。フリを悟れないのもまた地球人ならではだ」
――不憫だね。
「いい部分もある。地球人はどれだけ周回しても、初めて見る物語であり、何も知らないからこそミクロ的にはたまにちがう歴史を刻めることもある。知らないのはときに羨ましいことでもある。羨ましいが、なりたくない。地球人は悟れないがゆえに、滅んでは古代文明から高い文明まで築き上げ、そしてまた滅び……を繰り返しているのだから。悟れないから、自ら壊すまで何かを得ようとするんだ」
――そうだね。
「地球以外の者からすれば、とても興味深くはある。地球人は、私たちの次元にこられなければ、すべてを悟ることはない。だからこそもがく。この秩序立ったマクロコスモスにおいて、地球上で起きている物語は、地球人がゲームや映画の二次元を楽しむのと同じく、興味深い観察の対象なのだ」
(終)
―作者後記―
・「世間ではおかしい側とされてる人たちこそ本質が見えていたら…」そんなテーマから書き始めたら、「地球(人)興味深い」って終わり方になってました。
・創作物語であり、個人的な思想ではありません。
・文章を肉付けして小説風にすると長くなるので、会話形式で進めました。