映画『スリー・ビルボード』を観た感想

ビルボード 映画(旧作レビュー)
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※ネタバレあり

 

映画『スリー・ビルボード』を鑑賞。

ずっと観たかった作品です。

ようやくの鑑賞となりました。

 

「ネタバレあり」の記事なので、このブログを読む方はすでに映画を観終えていることだと思います。

なので作品の内容については省略。

さっそく感想を書きます。

 

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『スリー・ビルボード』を観た感想

ストーリーもキャラクターも素晴らしいと感じる良作だと思いました。

引き込まれて集中して観ることができました。

私、ラストシーンを観終えてエンドロールが流れた瞬間に、思わず「スゲー」と囁いていました。

何が「スゲー」なのかは、以下に詳しく書きます。

 

ラストに「スゲー」と言ってしまったワケ

エンドロールに入ったときに思わず「スゲー」と小声で言いました。

 

「(こんな終わり方にして)スゲー」と思ったからでした。

 

最後には犯人が明らかになると思っていた。

この人怪しい、こっちも怪しい、と予想しながら見てました。

ディクソン(クビになった巡査)などは真っ先に疑わずにはいられなかった……。

終盤では、一度ギフト屋に顔を見せた男(バーでディクソンと喧嘩をした男)が犯人で決定だと思ってました。

そしたら、真犯人はわからぬままのエンド。

真犯人がわからないどころか、バーの男を殺すか殺さないかもうやむやになってしまったエンド。

 

しかし消化不良を起こすことはなかったです。

人間の心の複雑性と移り変わりを描いた作品として受け止めました。

事件は解決してないながらも、彼らの心には進展ともとれるような変化があった

特に元巡査のディクソン。最初はイカれコンコンチキ野郎に見えましたけど、後のほうにはいい部分を見ることができました。

最後にミルドレッド(被害者の母親)とディクソンが、紆余曲折を経て互いを受け入れられるようになったドライブシーンは、少し心が救われるような感覚もありました。

そんなこんなあっての「スゲー」につながりました。

 

キャラクターのよさ

登場人物たちの描かれ方、

サンマの塩焼きの内蔵の苦みまで味わうような、生命丸ごといただきます的な感じで、人間をそのまま描きます的に描かれてるかなと。

 

登場人物たちが多層的です。

変わった人が多いと思えるような瞬間はありました。

(「普通じゃない」引き出しを持っているということで役者としては良い)

しかも暴力的な人も多かった。

けど、いい人もちゃんといる。

イカれていると思っていた人間にもいい部分がある。

単一的ではなく変容性や複雑性がありました。

 

私が好ましく思ったキャラクターは、広告代理店のレッド君です。

ちょっと変わった青年でナイスキャラ。そして「いいヤツ」だった。

レッド君がディクソンにオレンジジュースを差し出すシーンは泣いた。この映画で唯一涙を流した場面でした。

レッド君は彼に窓から投げ落とされてます。そりゃ恨みはあるはず。

しかし恨んでる彼は全身にやけどを負っている。見るからに自分よりひどい状態に陥っている。

「報いは受けた」とレッド君が思ったかはわかりませんが、ストロー付きのオレンジジュースを差し出したことによって「ゆるし」を表明した。

それでもってラストでのミルドレッドの告白シーン。警察署の火事は自分の仕業だとの自白に、「あんた以外いないだろ」と返したディクソン。

それも「ゆるし」の証だよなと。

映画の中では復讐や報復の連鎖もあったけれど、ゆるしの連鎖もありました。

 

ストーリーのよさ

ストーリー、最後まで予想がつきませんでした。

深刻な描写がつづくのかなと思いきや、クスッとくるところや和みテイストなところがあったり、「こうくるかな」と思ってもちがったりしていた。

それこそリアルな描き方だなと思いました。

人間が単一的ではなくグラデーションの中を揺れ動きながら生きているのとか、先の予想がつかないところとか、それがリアルなんだろうなと。

 

それから、1つの出来事が次の出来事に影響していくストーリーも、無理やり感は感じられずに流れるようにつながっていたと思います。

1つ1つの物事が重なって、物語(ひいては人生)ができていくものだということを気づかせる力がありました。

 

「あの出来事がなければ、この出来事は起こっていなかった」
「あの出来事があったから、今がある」
みたいなことは、リアルな人生において付き物。

そこら辺の数珠繋ぎが見事に描かれていたストーリーではないかと思います。

 

おわりに

この映画は「サスペンス」ではなく人間模様をうつした「ドラマ」なんだなということが鑑賞後にハッキリしました。

中途半端に犯人を明らかにしたら、視点がブレてしまいそう。

なのでこのエンドがふさわしかったんだと思うし、そこを加味してまた「スゲー」と思います。

 

人間の複雑性・人生の複雑性をどこまでゆるすことができるか、を問われているような気がする作品でした。

 

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