小津安二郎監督の映画『早春』を観て気づいたことなど

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小津安二郎監督作品『早春』(1956)を鑑賞。

 

先日観た同監督映画の『お茶漬の味』よりも庶民的な風景が多い印象でした。一般的な家庭の様子や会社の様子、同僚や友人知人との交流などが描かれていました。より当時の日常をリアルに感じ取れるとともに、より現代との価値観のちがいなどを感じました。

 

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時代を感じる

2018年現在からすれば、『早春』には炎上しそうな描写・セリフがちらほら。1956年当時は問題なく描けてる→今はダメ、という時代の移ろいを多くのシーンで感じます。2018年現在では普通とされていることも、60年後からすれば炎上案件だったり「いいのかコレ」と見られたりするんだろうな。

 

それから、割と英単語を多用されていることが自分的には発見でした。『早春』の中のセリフに「ヒューマニズム」とか「モーションかける」とか出てきていた。特に「モーションをかける」は、当時からそういう言い方があったのかと軽く驚き。なんとなくのイメージですがバブル時代くらいにできた言葉という雰囲気が自分としてはあったので。

 

女性たちが「こんにちは」の挨拶を「こんちは」って言いがちなのも1950年代ならではなのでしょうか。『早春』では、妻も浮気相手もそういう挨拶をしてたので、特定の登場人物の個性的な口癖というわけでなく、社会全体的にそんな言い方が流行っていたと想像できます。

 

「ズベ公」ってセリフが出てきたときにはまさに時代を感じました。「ズベ公」はパソコンで一発変換できないし、今使っている人はいないし、死語といっていいのではないでしょうか。その「ズベ公」と呼ばれていた女性(通称:キンギョ)が捨て台詞で「何さ!」と言ってたのも時代を感じた……。

 

あ、それから昔の時代ならではの撮り方によるミスかなと思える箇所が一つ。妻が友人宅でビールを飲みながら会話するシーンで、構図が切り替わったらグラスの中のビールが増えているということがありました。会話の途中で、二人並んでる構図から一人の構図にパッと切り替わったときに飲み物の量が増えたという。一つのシーンだけれども別々での撮影なために起きてしまったミスなのでしょう。

 

『早春』の役者さんたち

妻役を演じていた淡島千景さん、きれいな方だなと思って調べてみたら宝塚歌劇団出身なのですね。『早春』を観ている最中何度か、竹内結子さんに似ていると感じました。

 

浮気相手の「金魚」役もいわゆる小悪魔的で魅力的。演じていたのは岸惠子さん。プライベートではフランス人男性と結婚し、当時では海外旅行さえ珍しかった時代にパリへ移住したとのこと。そういう人生を送っている女性は興味がわきます。現在もフランスにお住まいで小説の執筆をされてるとのこと(ウィキペディア情報(基本的に誰でも編集可)ではあります)。

スギ(夫)役を演じていた池部良さんも俳優であり随筆家としてエッセイを書かれていたそうです。

 

スギの戦友で酔っ払ってスギの家に上がり込む自営業の男性、黒澤明監督の『七人の侍』のメンバーだよな、と思って調べてみたらそうでした。加東大介さん。リーダーの侍と以前から知ってる仲の侍役。かっこいい侍役からの、『早春』では三枚目の酔っ払いの演技。滑稽でクスッと笑える演技を見せていただきました。

 

ほかにも、のんちゃんというキャラクターの喋り方に独特のクセがあったり、スギの送別会にきていた同僚の女性が眼帯をしていたり(女優さん自身が撮影のときに目の調子が悪かったのかな?)、気になるキャラクターはいましたが、『早春』は登場人物がけっこう多いですね。スギの同僚だけでも把握していないキャラが数人。

 

あ、今ウィキペディアで『早春』のキャスト一覧を見てみたら、七人の侍からもう一人出られてた方がいました。寡黙な侍・久蔵役だった宮口精二さん。久蔵はかっこよかった。『早春』では、お向かいのたま子さんの夫役だったのか。これは気づかなかった!

 

 

以上、『早春』を観て気づいたことなどをつらつらと書いてみました。

 

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