映画『search/サーチ』を観てきました。
物語全編、パソコンの画面上で繰り広げられる斬新な作品です。その演出に興味を持ち、映画館に鑑賞しに行ってきました。
あらすじ:
ある日、デビッド(ジョン・チョー)の16歳の娘マーゴットが突然姿を消す。行方不明事件として捜査が行われるが、家出なのか誘拐なのか不明のまま37時間が経過する。娘の生存を信じるデビッドは、マーゴットのパソコンでInstagramなどのSNSにログインする。そこで彼が見たのは、自分が知らなかった娘の一面だった。(引用元:シネマトゥデイ)
サスペンスストーリーの一方で、シングルパパと娘の微妙な親子関係についても描かれていて、ヒューマンドラマの要素もちょっとあります。
観賞してみて……おもしろかった!
パソコン画面上でストーリーが進行するという斬新な演出のみならず、サスペンス作品としてもじゅうぶんに楽しめる映画でした。
思いがけない展開が起こり、事態は二転三転し、「まさか!」と驚かせてくれて、サスペンスものの醍醐味を味わうことができました。
所々こだわって作られているのが垣間見えて、伏線やストーリー展開も練られているなあと。
SNSなどのデジタルツールを駆使するシーンが多いながらもキャラクター描写がなおざりになることはなかったです。
たとえば父親がテキストを打つ場面は、顔の表情は見えなく・声を発さず・ただパソコンの画面にテキストが表示されるだけでしたが、それでも彼の性格や娘との微妙な感じが見えてきました。
文章を書き直したり送信せずにDeleteしたりっていうところで。
テキスト一つ打つにしても性質が表われてくるものだ。
それにしても、『search/サーチ』もそうですがアメリカの映画を観ていると、うまくいってない家族の間柄でもハグをしたり「I love you」なんかと言葉をかけたり、日本人から見れば仲良すぎなくらいのコミュニケーションはとっていますよね。
心がつながっているかはまた別の話ですが。
それでもアメリカはやっぱり、コミュニケーションの基礎地盤は日本のより物理的に近いというか、触れ合いが多いなと。
文化のちがいだな。
『search/サーチ』の主人公一家は、韓国系の家系でした。
でもアメリカに住んでいて、皆英語ネイティブ。
だから食事なんかは韓国っぽいところもあったけれど、振る舞いや他人とのコミュニケーションの仕方なんかはやっぱりアメリカンな感じでした。
そして主人公の父親、デジタルツールを使いこなし過ぎィ!ではないか。
テキストのタイピングは速く、SNS含め多くのネットサービスを巧みに使いこなしている。
おそらく頭がよく仕事なんかも有能な感じの役ではあるんだろう。
アメリカのビジネスパーソンともなれば、あんなふうにデジタルを駆使するのもお手の物なのかな。
個人的には、連絡先を検索するネットサービスの存在や、行方不明のニュースに対するネットユーザーの反応など、新たな発見や共感があったりして、興味深く見ることができました。
そして思いがけないストーリー展開に目が離せなくなりました。
そういえば終盤で、娘のホームビデオ的な映像がパッと流れたときには、映画館の客席からウッと嗚咽のような息が漏れてたなあ。
全編パソコン画面ではあるけれども、それに関係なくちゃんと感情移入できる映画ということだな。
斬新な演出と練り上げられたサスペンスの物語で、おもしろく鑑賞させてもらいました。
正直、例の演出(パソコン画面オンリー)がなければ、普通のサスペンスかなと思って、私は映画館で観てなかったと思います。
斬新な手法を売りにしてまずは客を呼んで、しっかりしたストーリーをみせるという。見事。