続・自己を変え得る強力な書物 ~執行草舟氏の本

思想・芸術系

 

今、執行草舟氏の新刊『脱人間論』を読んでいる最中です。

以下の文章は、大部分は新刊を読み始める前に書きました。

 

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■執行草舟氏の本について書く――第二弾。(第一弾はこちら

 

執行氏の本を読んでいると、個人的には「腹がずしりと重くなる」感覚を実感する「腹に落ちる」感覚と「腹が据わる」感覚とが両方あって、腹がずしりと重くなっているのではないかと思います。

 

「腹に落ちる」は、納得感、といいましょうか。執行氏の言説や持論に納得させられる。氏が述べる一つ一つの言葉の定義、物事の見方などは、これまで大衆が「なんとなく」で捉えてきたものとは違う。まったく逆の場合もある。しかし、それでいて納得させられる。「矯正」させられる。

 

執行氏が奇をてらって逆説を語っているわけではないのは、読者であれば論を俟たぬこと。執行氏は古来から言われてきたような「正論」と呼ばれるようなことや、優れた文学で描かれてきたことを説いている。それが逆説になってしまうのであれば、いかに現代の価値観が違う方向に走っているかということにもなる。私たち現代人は、現代の価値観を疑ってみる目は必要である

 

執行氏は逆説でも正論でも、結局ぐわんと高次の境地に収束させるような説得力がある。そしてその境地は、不合理で厳しいものです。新しいものや得をするもの・ヒューマニズムに価値を置いていたら絶対に行き着かないような、崇高で野蛮で不合理な境地を目指す思想です。そんな不合理な思想を、現代文明にどっぷり浸かった読者に語って聞かせては感化させたり納得させたりする説得力は、物凄いものがある。

 

この物凄い説得力は、氏の圧倒的な読書量と、思考の繰り返しと、並外れた言語化能力が土台にあり、その上で心血を注いで書かれているからここまで強いものになっているのでしょう。

なぜ心血を注いでいるのかがわかるかというと、その著書の誤字脱字のなさ、だったり、ある本では文章の単語(簡単な単語から難しい単語まで)の解説を自身の言葉で逐一入れたりしていて、その骨折り徹底ぶり、などにあらわれています。

 

そのような心血注がれた重厚な説得力をもって繰り広げられる思想は、ドーンと自分の中に打ち立てられ、「腹が据わる」感覚を与えられます。なので執行氏の本に浸かっているときの自分は、自分から見ても何か違うのであります。

 

読書によって人生観や世界観を構築するのが大事といいます。そういったものが自分の中にないと、周りがいいと言うものや流行のものに流されてしまうからです。

 

 

未熟者につき、執行氏の本のすべてを咀嚼できているわけではありません。わからないことは、わからないでいいそうです。そのうち自分がいろいろ経験していく中でわかることもあるだろうし、執行氏が本に書いているような内容は、一生をかけて考えていくことです。

 

そしていくら読書によって思想を打ち立てられたところで、油断すればすぐ「なんとなく」の方向に引っ張られます。(なんとなく共有される雰囲気、そういったもの)。自分の場合は、メディアに触れる機会が多くなったりするのが一つの指標です。

 

執行氏も言っているように、人間、すぐに弱い方向に向かったり欲望に呑み込まれたりする。6歳で『葉隠』を読んで以来ずっと武士道の思想で生きている執行氏でさえそう説いている。

 

そして執行氏の自伝本によると、かつては執行氏も現代的な欲望を持ったこともあったという。そうしたら途端に弱くなったとも書かれていました。これは印象深かったことです。

現代の価値観で人生を進めようとすれば弱くなる。これは、なんとなく肌で感じていることだったりしないでしょうか。

 

…そんなこんなで、現代の人間からの脱却により本来の人間になるという、執行草舟氏の新刊の『脱人間論』。これから読み進めていきます。

 

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Saeka Kadomatsu
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この記事を書いた人
門松冴果

Saeka Kadomatsu
映画が好きな物書きです。小説を書いています。小説『アマタザキ』『霊峰記』は、Amazonの電子書籍・キンドルで発売中。

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