特に意味のない行動で小学生の人気者となった“「あ」の人”

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私が小学校のとき、「あ」の人なるちょっとした地域のスターみたいな人がいた。

営業マンらしき男性だった。

 

彼は下校時刻になると、小学校の通学路をよく営業車で通っていた。

この営業マン、通学路を歩いてる小学生を見かけるやいなや、必ず「あ」と大きな口を開いて走り過ぎていく。

車のハンドルを握りながら、晴れの日も雨の日も「あ」の口を小学生に披露して去る。

世の中にはいわゆる”変顔”がキマるタイプとそうでないタイプがいるが、この営業マンに至っては「あ」の顔がとてつもなく面白くキマる。
陽気で絶妙な表情だった。

面白い営業マンに向かって、小学生も同じように「あ」と口を開いていた。

小学生と営業マンの一瞬の挨拶が密かなるブームとなっていた。

彼の車が遠くからやってくるのが見えると「あの人だ!」「あのおじさんだ!」と男子も女子もみんな興奮し、すれちがう一瞬に「あ」の挨拶を交わしたものだった。
小学生たちはそれで愉快に笑っていた。

おそらく当営業マンは、その通学路を歩いている小学生全員と「あ」の挨拶を交わしていたと思う。

2つ上の先輩の誰かのお父さんだという噂を聞いたことがあるが、「あ」の人の素性は知らなくてよいのだ。

誰のお父さんだろうが、たとえ大きな会社に勤めてる人だろうがなんだろうが、「あ」の人として(私のところの通学路で)一世を風靡したことが何より稀なステータスだ。
小学生の笑いと人気をとるのは誰彼できることではないでしょう。

 

「あ」の挨拶をするという特に意味のないこと、しかしそれをやり続けることによって他の誰ともちがう何かを得ることもある。

 

これは個性やオリジナリティを考えるうえでも何かヒントになるかもしれない。
こんなまとめで今回のブログを終わりにしたい。

 

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Saeka Kadomatsu
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この記事を書いた人

Saeka Kadomatsu
映画が好きな物書きです。小説を書いています。

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