映画『リスボンに誘われて』ってタイトルに誘われて観てみた感想

リスボン 映画(旧作レビュー)
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映画『リスボンに誘われて』(2013年/ドイツ・スイス・ポルトガル合作)を観ました。

 

この『リスボンに誘われて』という邦題は、絶妙ですね。

 

タイトルに誘われるようにして映画を観ました。
(主人公がリスボンに誘われたように)

 

 

最初に、邦題と作品画像を目にしたときに、「アダルト」「渋い」「シリアスドラマ」のような印象を受けました。

 

本作品はまさにそのような感じの内容でした。

 

大人な映画だと思います。

 

こういう映画もいい。

 

派手なアクション映画とかSFとか明るいコメディ映画とかも好きですが、ときにこういったドラマ映画を差し挟むことによって、さらに映画鑑賞への食指がなめらかに動く、気がします。

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あらすじ

『リスボンに誘われて』のあらすじです。

あらすじ:
高校の古典文献学教師のライムント(ジェレミー・アイアンズ)は、孤独で単調な日々を過ごしていたが、不満に感じることはなかった。ある日、偶然手にした本にすっかり魅了された彼は、本の著者アマデウ(ジャック・ヒューストン)を追ってリスボンへ旅立つ。旅先でアマデウの家族や友人を訪ね歩き彼の素顔、そして本を書いた訳が明らかになるつれ、ライムント自身の人生にも変化が生じる

(参照元:シネマトゥデイ

 

ちょっと補説。

 

スイスで教師をしている主人公(50代後半くらいの男性)はある日、橋から飛び降りようとしていた女性を助けます。

 

女性は主人公の前から消えました。彼女が残したコートのポケットに、一冊の本とリスボン行きのチケットが入っていました。

 

主人公は誘われるようにしてリスボン行きの電車に乗ります。

 

女性の持ち物だった本は、ポルトガル人のアマデウという男性が書いた、100冊しか世に出回っていない本でした。

 

本のなかには、アマデウの人生訓のような言葉が並んでいます。

 

「自分が書いたみたいだ」と感銘を受ける主人公。

 

主人公はリスボンのアマデウの家を訪ねますが、アマデウは動脈瘤のために若くして亡くなっていたことを知ります。

 

しかしそこからも主人公の旅はつづきます。

 

アマデウの死を隠そうとするアマデウの妹や、主人公の話に耳を傾けてくれる眼科医、アマデウのかつての友人知人たち、などと出会い、彼らと接するうちにどんどんアマデウの身の上を知っていくこととなります。

 

【若きアマデウは医者となり、反体制活動に加わわって仲間の一人である女性と恋に落ちるも、体制側(秘密警察)で非道な男・メンデスの命を医者として救ったことにより市民から非難されます。しかし、メンデスを助けたことによって、のちのアマデウの命運を分けます。メンデスを助けていなければ、本を書くことができなかったかもしれません。】

 

アマデウの人生を追うにつれ、主人公自身にも徐々に変化が生じていく、というストーリーです。

『リスボンに誘われて』を観ての感想

『リスボンに誘われて』は、原作となる小説を映画化した作品です。

 

映画化するにあたっていろいろ削ってコンパクトにしたんだろうけど、映画用にまとまっていて見やすい」と、原作を読んでないのにそんな感じがしました。

 

見やすくて内容も入ってきやすいです。

 

過去と現在を行き来しますが、その流れはスムーズ。

 

「反体制」やらのワードは出てきますが、ムズカシイ政治的な話はなく、「とりあえずメンデスは敵、あとは仲間」、くらいで見ても理解できる内容になっています。

 

次第に明らかになっていくアマデウとその周りの人物たちのストーリーは、悲愴的ながらもありえそう。彼らの青春を追うことになる主人公のストーリーがまたいい。

 

ところどころで登場するアマデウの著書の言葉の数々にも注目です。

しっくりきたアマデウの言葉

アマデウが本に書いていた言葉は、深いです。

 

自分の未熟な頭からはフワッと飛び去ってしまう高次な表現も少しありました。

 

でも自分でもスッとつかみ取れる言葉もありました。

 

そういったときは「なるほど」と味わわせてくれるので、やはりアマデウの言葉は深みがあると思います。

 

自分的に、アマデウの考え方は、「思慮深そうな主人公にもシンパシーを感じさせるに足る」と納得できるものでした。

 

私がいちばん心にしっくりきたのは以下の言葉です。

 

人生の重要な分岐点に騒々しい演出があるわけではない。人生に変化をもたらすものは静かに忍び寄り、静かに起こり、静かに展開する。その素晴らしき静寂にこそ特別な高貴さがある。

 

そして、上記の言葉が語られている場面は、映画を観終わってみれば「なるほどまさに!」と、思わず指パッチンしてしまいそうなタイミングだったんです。(ヒント:主人公の眼鏡が壊れた後の場面)

 

 

リスボンへ行ったことによって主人公に変化が生じます。

 

主人公のその後の人生の方向性を変えうる変化です。

 

身投げしようとしてる女性を助けるという特異な出来事を主人公は体験したわけですが、それがキッカケでまさか遠いリスボンに縁ができようとは、夢にも思ってなかったことでしょう。

 

主人公は、偶然の出来事や出会いによって徐々に変化しますが、一個一個は本当に静かに起こってることなんですよね。

 

リアルの世界でもそういうものだよな、とすごく感じました。

 

今は何でもないようなことや静かに起こってる何気ない出来事が、のちに重要な転換点となるかもしれません。

ほかにアマデウの言葉で印象に残ったもの

ちなみに、ほかにアマデウの言葉で印象に残ったものでは、次のようなものがあります。

 

若い時は皆、不死であるかのように生きる。死の自覚は紙のリボンのように我々の周りをつかず離れず踊るだけだ。それが変わるのは人生のどの時点でだろう?そのリボンが我々の首を絞め始めるのはいつだろう?

 

内容というよりは、表現の仕方に唸りました。

シャーロット・ランプリング(現代のアマデウの妹役)の目力よ

それからキャストについて書きたいことが。

 

現代のアマデウの妹役の、シャーロット・ランプリング。

 

目がとても印象深い女優さんだな、と思いました。

 

理知的できれいでどこか複雑なものを抱えてそうな顔立ち……というか、やっぱり目。目が強い。

 

その目をどこかで見たことがあるとずっと感じてましたが、それはきっと「エヴァ・グリーンだろう」という結論に達しました。

 

エヴァ・グリーンは、『007 カジノ・ロワイヤル』のボンドガール、『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』のミス・ペレグリン役の女優さんです。

 

二人の目が似てます。どちらも目に力があって、ミステリアスで、美人です。

映画の終わり方がよかった

それから特筆すべきは、ラストのシーンがすごくよかった点です。

 

『リスボンに誘われて』は、あの終わり方がベストだったんだろうなと思います。

 

最後のシーンが終わって、エンドロールが流れた瞬間、「素敵」や「素晴らしい」といった感情がわきました。

 

終わり方がいいと満足度が増すんで、いい終わり方でよかったよかった。

あとがき

まだ鑑賞していない方もいるかと思うので、ラストシーンについては具体的には書きませんでした。

 

ラストのヒントとしては、『ビフォア・サンセット』(「ビフォア~」シリーズの二作目)と似た感じの終わり方……かなと。

 

とにかく観終えた後に「よかった」と思ったのですが、それはいいラストシーンだったからというのは多分にあります。

 

「終わりよければすべてよし」とはいったものです。

 

この作品は、ずっとシリアスな雰囲気がつづきますが、一箇所だけ笑ってしまったシーンがありました。

 

主人公が女医をディナーに誘ったとき、その場に居合わせたホテルの主人の「やっと誘ったか」というつぶやき。

 

リスボンに「誘われた」主人公がみずから「誘う」場面でもあり、うん、なんかこの映画、いいなあ。

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