映画『女神の見えざる手』の主人公のかっこよさ

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映画『女神の見えざる手』(2016)の主人公、エリザベス・スローンはかっこいい。

個人的にはあらゆる映画キャラクターの中でもトップレベルにかっこよさを感じるキャラクターである。

 

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スローンがかっこいいわけ

この映画、原題は『Miss Sloane』(ミス・スローン)。
これがたとえば『Mr. Sloane』(ミスター・スローン)でも、つまり主人公が男性だったとしても、この作品の主人公のかっこよさになんら変わりはない。

ミス・スローンは、中身は女も男も感じさせない。

彼女がやっていることや生き方は、仕事から私生活に至るまで丸っと、男性がやっていてもなんら違和感はない。

スローンの性別は女性であろうが男性であろうが構わないということだ。

つまり、スローンは「人間として惚れる」人物なのだ。

スローンは「人間として惚れる」人物

人間としてどういうところに惚れるかといえば、命をかけて使命を果たそうとするところだ。自分を犠牲にしても自分の信念を貫くところだ。スローンの中には、崇高さと荒さとを併せ持った気高さがある。

このようなキャラクター、たとえ性別がどうあれ、年齢がいくつであれ、職業や出自がなんであれ、惚れざるを得ない。

 

ただ、今まではそういった気高い魂を持って戦うキャラクターというのは、やはり「男性」が多かった。いわゆるヒーローです。

これが、ようやく「女性」でもこういうキャラクターが出てきた。変な色仕掛けみたいなたぐいは一切なく

 

そういったたぐいが一切ないのが、この作品の素晴らしいところだ。いや、素晴らしいというよりは、ミス・スローンのように「隙がない」描き方ともいうべきか。

色仕掛けやらなんやらの性を武器にする描写もなければ、女だから不自由やら不平等やらを被っているみたいな描写もまったくなく、そういったことを抗議するようなテーマ性も無論一切ない。そういったジェンダー的な要素をミス・スローンに一切まとわせなかったのは、ミス・スローンの気高いその魂・精神のほうにきちんと焦点をあてて描くためとも思える。

色仕掛けやらなんやらの描写の是非は今ここでは関係なく、ただそういったものはスローンには必要ないということだ。この作品には必要ない。

この作品は、スローンの「生き様」、もっといえばやはり「魂」のようなものを描いている作品であり、だから原題は銃やらロビー活動うんぬんとかではなく『Miss Sloane』なのだろう。

 

手腕やらやり口よりも凄い彼女の根源

スローンの手腕やらやり口やらはもちろん凄い。けれども、本当に凄くて代え難い価値があるのは、それら言動の元になっている彼女の「気高い魂」にあると思っている。というか、結局人間はそこに行き着くしかない。どんなに頭がよかろうが力があろうが、核となるものが腐っていれば(自分が得をしたいetc)、うまい汁を吸おうとして堕落していくのは、この作品でも描かれていることである。

 

スローンは、信念を貫き通すために、自己犠牲を厭わず、闇の中で孤独に戦っていた。

こんな一本貫いている人物に惚れないわけがなく、主人公・スローンをかっこよく思うのも当然といえる。

 

スローンのように「貫ける魂」を持つ人がかっこいい。

スローンのような「貫ける魂」とは、この字面が持つイメージよりも、何倍も何倍も厳しくとても難しいことである。

 

「何かを捨てる」のではなく、信念以外すべてなげうつ

自分が得をしたいなどという素振りなんかスローンには一切なかった。
幸せになりたい、豊かになりたい、楽をしたい、健康になりたい、有名になりたい、権力を得たい、人望を得たい……そんなふうに少しでも考えるスローンだったら、決してあのような働きぶりや行動はとれていなかった。

勝ちたい、というのはあった。それが彼女の信念だから。

勝つためにあちこち駆け回っては、経費に計上せずに身銭を切っていた。
眠らずに働けるよう、薬を飲んでいた。

自分のお金も、時間も、健康も、私生活の幸せも、時には周りからの評判も、自分の信念以外すべてなげうつということになる。

これができるスローンだったから、気高くかっこいいといえるのだ。

 

すべて捨てる覚悟を持つこと=本当にすべてなくなってしまう、というわけではない。

本当に気高い魂を持つ人物ならば、スローンのように、人望やお金はきっとついてくる。
ただ、本人は本気で信念以外を捨てる覚悟で事に当たらなければならない。

その気構えができるかどうか、それが問われる。

それができるスローンだから気高くかっこいいのだ。

 

スローンは勝つために部下の痛ましい過去を世間に晒していた。
これはたとえばCEOのシュミットならば決してやっていなかったことだ。彼の良心が絶対にゆるさなかったろう。彼は社会的にマトモで良識的な人物といえる。社会的にはこのような人間と付き合いたいと思うほうが圧倒的多数になるだろう。

ただ、マトモで良識的な善人では、スローンのような革命はできなかったのだ。

 

スローンのかっこよさとは、再三になるが、自己犠牲を厭わず信念以外をなげうつ「貫ける精神・魂」にある。

 

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