イタリア映画『マレーナ』(2000)を観ました。
昔観たことがあって、2回目の鑑賞です。
映画の主人公・少年レナートがマレーナのことを「忘れられない女性」と言ったように、私の中にもどこかに『マレーナ』が残ってて、いつかまた鑑賞したいと思っていた作品でした。
先日、観たい気持ちが強くなり、アマゾンビデオで199円でレンタル購入して観てみました。
なるほど。自分も少年になったかのようにマレーナの境遇やマレーナ本人に見入ってしまった。
かなり記憶は薄れていたので、ほとんど初見のような感じでストーリー展開などを新鮮に観ることができました。
ここまで少年の思春期を赤裸々に描いていた作品だったんだなと。
そして、私の記憶の中では、最後にマレーナが整形するか何かで顔が美しいとはいえない状態に変わって、それで街の女性たちに受け入れられる……みたいなストーリーだったような気がぼんやりとしていましたが、かなり違っていました。
別の映画か何かとごっちゃになっていたのだろうか。
人間の(=自分の)記憶はいいかげんだな……ということを改めて実感したりしました。
さて、マレーナを演じたモニカ・ベルッチ、貫禄がすごかった。
見た目の美しさもさることながら、醸し出す雰囲気がもう「ただならぬオーラ」というか……。
マレーナはミステリアスで想像を掻き立てる存在なんだろうなあ。
島中の男女問わず噂の的になるのもわかる。そんな説得力がある。
長い黒髪はエキゾチックで魅力的だった。
個人的には赤毛マレーナもとても好きだった。
赤毛の初登場シーンのときは、私は思わず「うわ~」か何か声を上げました。きれいだなという心の声が漏れた。
広場の椅子に座ってタバコくわえて、方々から差し出されるライターをうつろに眺める赤毛マレーナの場面なんかもう、かっこよすぎるわ絵になりすぎるわ、まるでイタリア芸術ともいえるような雰囲気がありましたねあれは。
(マレーナを演じたモニカ・ベルッチは、「イタリアの宝石」と呼ばれているそうです)
その美貌ゆえに平穏な人生を送れず、男女問わずの人間の愚の部分を引き出してしまうような女性・マレーナ。
「美しさは罪」みたいなことが一つのテーマとして描かれているのだろうか。
まあ、罪を文学的とかにではなく法律的や道徳的にいえばもちろん美しさは罪なんかではなくて周りの人間の愚行が罪なのであって、マレーナの境遇は理不尽である。
その理不尽さを「理不尽だな」と思いつつ、そういった平凡でない人生の物語を味わうのも映画の醍醐味の一つということでしょうか。