マダム・フローレンスの映画と本を見て思ったこと

マダム・フローレンス! 夢見るふたり 映画(旧作レビュー)
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映画『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』(2016)を鑑賞。

 

「絶世のオンチ」などと歌唱力を酷評されながらも、絶大な人気を誇った女性ソプラノ歌手、マダム・フローレンスを描いた作品。

 

映画だけではマダム・フローレンスの生き様について汲み取れない感がありました。

なので、マダムの関係者の発言や当時の評論記事などをまとめた本を読んでみました。

 

そしたら映画とはまた違ったふうにマダムの人生を見ることができたので、今回ブログに書いていきます。

 

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映画を観た感想

まずは映画を観た感想から。

 

メリル・ストリープ主演の映画『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』を観ているときには、正直何回も胸が痛みました。

マダムがばかにされてる感じがし、裸の王様のような扱いがつらく感じました。

献身的な夫や家政婦や友人でもあるピアノ奏者など、まわりの人たちに恵まれているのはまだ救いだったかなという感想。

マダムのたくましさがちょっと垣間見える部分もあったけれど、映画では「滑稽」「あわれ」要素が目立っていたように個人的には感じました。

 

ネットでマダムの人生について調べてみると、書き手によっては悲劇的ではなくむしろ偉大さを感じるように書かれているものもあり。

2時間の映画から受けた印象だけでは、マダム・フローレンスという存在の大局をつかんでいないんじゃないかと思い。

もっとマダムの人生について多角的に見てみたいなと思いました。

マダムの夫や伴奏者の発言、評論家によるマダムの論評をまとめた本があったので、読んでみることにしました。

 

本を読んだ感想

『フローレンス・フォスター・ジェンキンス 騒音の歌姫』(キネマ旬報社)を読みました。

 

やはり本は情報量が多い。

映画では描かれてなかったり汲み取れなかったりしたことを、知ることができました。

 

「マダムの歌唱力はヒドイ」という共通認識があったのはたしかなよう。

マダムのコンサートでは観客は笑いをこらえ、歓声を上げる隙に声を出して笑っていたそう。

そんな中、堂々と自信たっぷりに歌うマダム。

マダムのコンサートはいつも観客がいっぱいで、大いに盛り上がったとのこと。

そしてついにはカーネギー・ホールで歌うまでに至る。

 

映画の中でも描かれていたことですが、マダムがカーネギー・ホールでコンサートを開催して大ウケしたときも、これに不快感を示して否定的にとらえていた批評家はいました。

 

「これほど残酷で非文明的な振る舞いをカーネギー・ホールで見たのは初めてだ」

 

このような意見も本に載せた上で、作者のダリル・W・ブロック氏は、マダムについて以下のように記しています。

 

「彼女の物語は、圧倒的逆境に対する勝利の物語であり、勇気と確信の物語」

 

それぞれの受け取り方があります。ネガティブに見るのもポジティブに見るのも、どちらも間違いということはないでしょう。

フローレンス・フォスター・ジェンキンス

フローレンス・フォスター・ジェンキンス(マダム・フローレンス)

 

莫大な財産を持ち慈善活動にも積極的だったマダム。

チャレンジ精神旺盛で歌を純粋に真剣に愛していたマダム。

彼女には多くの友人や取り巻きがいました。

歌の才能は酷評されながらも、とても人気がありました。

 

歌に関してどういう批評がつこうと、現実としていえるのは。

・マダムは歌で人々を喜ばせ、歌で観衆を元気づける・勇気づけるという、歌手としての本懐ともいえるようなことを果たしている。

・マダムが自主制作したレコードは没後70年以上経過した現在も親しまれ、同年代のあらゆるソプラノ歌手よりも有名であり人気がある。

・マダムのコンサートはカーネギー・ホール・アーカイブで最も閲覧請求される記録を作っている。

 

ただ単に面白がられるだけでは、ここまで人々から愛されることはないでしょう。

事実、マダムの人気と成功によってマダムの真似をする者もたくさん現れたそうですが、誰一人として成功してないといいます。

このことについて、マダムのピアノ奏者のコズメ・マクムーンは、「誰もマダムほど真剣ではなかったからだ」と語っています。

 

純粋に音楽を愛し、真剣に人々を喜ばせるために歌っていたマダム。

観客はそんなマダムの姿から、大事なものは何かを思い返していたのではないだろうか、とも思います。

マダムの歌を聴いて、笑いながら涙を流していた観客もいたようですが、その中には感動の涙も混じっていたように思えるのです。

 

 

以上、マダム・フローレンスについて、映画と本を見て知ったことや思ったことを書きました。

それでは今回はこの辺で。

 

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