エッセイ:通りすがりで思わず目を向けてしまった人

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~故・伊丹十三監督風の文体(というよりは語尾)で書いてみるエッセイあるいはコラムのようなもの~

 

駅地下のレストラン街へ行ったときの話である。

その日は土曜のお昼どきで、人がいっぱいであった。
数多くの飲食店があれど、どこも満杯。

どの店で食べようかと通路を歩いていたら、私の近くをすごく姿勢のいい人が通った。
視界の隅に入ってきただけなのに姿勢がいいのがわかった。

その人に目を向けた。すらりとした、見た目若そうな男性であった。

その男性は実際に、私が一瞬感じた以上に、とてつもなく、姿勢がよかった。本当に真っすぐという感じでしゃんとしていた。

飲食店が立ち並ぶ中、その男性は迷うことなく店に辿り着き(はっきりと覚えてないが和食系の店だったと思う)、店の前の順番待ち名簿に記入をされていた。

たしかに名簿に名前を書く必要はあった。店の前の椅子に座って待っている先客がいたからだ。店員に声をかけずとも、その男性は状況を把握し、音もホコリも立てぬ感じで流れるように待ち列の最後尾に身をおさめた姿はスマートであった。

この人、慣れてる。と私は舌を巻いたのであります。ほかの店には目もくれずに真っすぐに目的の店に向かっていたし、彼には迷いがなく、無駄な行動がなかった。

その男性は一人であった。スーツを着ていて、仕事の昼休憩という感じであった。一人だときまりが悪くなってしまいがちなところでも、何にも迷うことなくしなやかに行動ができて、ほんの数秒見てた私は「ほー」と感心やら爽快感を覚えましたね。

ちなみにその男性は、表情もただならぬものがあった。まったく気のゆるみのない、かといって威圧感はいっさいあらぬ、笑顔に近いような、どこかからカメラで撮られてるみたいな表情を浮かべて待ち列の最後尾に立っていた。(彼は座らない)

スター然とした人であった。その男性は細身で引き締まっていて体型も芸能人のようだったが、しかしその男性のオーラを作ってるのは、体型などは二の次で、まずは広い意味での「スマートな姿勢」にあるかと思った。

ほんの短い時間の中で自分がこんなにも注目してしまったのは、まずは「すごく姿勢がいい人がいる」というところからであった。目を向けたら、いろいろと磨かれてそうだとわかった。

いろんなスマートさを生み出すのは、まずは「身体の姿勢のよさ」なのかもしれぬと思った。背筋を伸ばして、頭の位置を正しい場所におさめる、など、そういう意識。そういう意識があれば、内面なんかも自然に変わってくるのかもしれぬ、と加えて私は思った。

自戒を込めて。いい姿勢を意識したい。

スターっぽく見えるためうんぬんではなく。いい姿勢を意識することによって己のふるまいがよくなり、見る人もちょっと快くなるのであれば、それはいいよなあと思う。カネも道具もいらぬほんのちょっとした「社会貢献」にもなるかもしれぬとこれ一つ。

 

 

当記事は、以前自分が別サイトに書いた記事の移転になります。
別サイトでの公開日:2019/10/14

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Saeka Kadomatsu
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エッセイ
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この記事を書いた人
門松冴果

Saeka Kadomatsu
映画と文(ぶん)が好きな物書きです。小説を書いています。

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