エッセイ:ジブリ飯

エッセイ
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~故・伊丹十三監督風の文体(というよりは語尾)で書いてみるエッセイあるいはコラムのようなもの~

 

ジブリ映画のいいところはたくさんあるわけだが、一つ私がいいなと思うのは、ジブリの映画に出てくる食べ物はおいしそう、ということである。ジブリ飯というやつだ。いろんな作品においしそうな食べ物が出てくるのであります。

  • 『天空の城ラピュタ』の目玉焼きのせ食パン
  • 『ハウルの動く城』の火・カルシファーが焼く厚切り長ベーコンと3つの目玉焼き
  • 『崖の上のポニョ』の、「昔ながらのラーメン」的な家ラーメン
  • 『千と千尋の神隠し』で千尋がハクからもらった、竹の皮に包まれたにぎり飯もシンプルにうまそうだ。千と千尋でいえば、かまじいの弟子(?)の真っ黒くろすけみたいな子らのエサになるカラフルな金平糖も視覚的に楽しい。

ラピュタの目玉焼きのせ食パンや、ハウルの厚切りベーコン+目玉焼きセットなんかは、私は家で作ったことがある。そのままの味といえばそのままの味であった。

ジブリ飯は実際食べてみたときの味よりも、画面で観るほうがさらによりうまそうであると私は思う。ジブリ作品は食べ物や料理をとてもおいしそうに見せてくれるのですよね。

 

たいていのジブリ飯に惹かれるのだが、最近まであまりピンとこなかったというか、当初はおいしそうに見えていなかったジブリ飯がある。
それは『魔女の宅急便』の、ニシンのパイ

老婦人が孫娘にデリバリーする手作りのパイ。受け取った孫娘は「このパイ、嫌いなのよね」という。

ジブリ作品のもう一ついいと思うところをいえば、子供の素直な残酷さもそのままけっこう描いているところだ。と、今になって思えばそういったよい点に昇華できるのであるが、子供のころにそのパイのシーンを観たときには、私もキキと同じくショックを受けた。むなさしさがあった。

 

ニシンのパイ。いいところを突いているのである。中にニシンやカボチャが入っているパイ。まずどちらかといえば子供やティーンは好きではない、でしょう。私も当初はおいしそうとは感じなかったのであります。

孫娘はおばあちゃんが一生懸命作ってくれた背景を知らない。どれだけ手間のかかる料理なのかも離れて暮らしてれば知らないと思う。孫娘からすればパッと目の前に差し出されただけの食べ物であって、なんの気なしに「嫌いなのよね」と率直な意見を述べてしまっただけの話なのでしょう。

私はおばあちゃんたちが一生懸命作っていたシーンを見ている。主人公のキキに感情移入して「喜んでもらえるかな」と期待しているところもあったろう。だからあのような反応にショックを受けた。

でもこれは現実世界でふつうにあること。仕事でも普段の生活でもあんなふうに不意にダメージを食らうことはあるものだ。そして、立場がちがえば無意識に人を傷つけていることもあるものだ。そういう、人を傷つけた自覚をしたり人に傷つけられたりして、「大人」になっていくものでありましょう。

生意気っぽい表現をすれば、ニシンのパイも「大人」の味なのだろう。いろんな物を食べ、魚や野菜の栄養を知り、苦みや旨みや複雑な味わいを知っていくうちに、ニシンやらカボチャやらのおいしさもわかっていき、ニシンのパイの魅力がわかっていくものではなかろうか。

 

私がいま一番ジブリ飯で何が食べたいかと問われれば、嘘ではなく、ニシンのパイが一番食べたい。一番いま興味があるジブリ飯である。幼いころは一番興味のないジブリ飯であった。私も大人になった証なのかもしれぬとこれ一つ。

ホットサンドなんかもそうだが、サクサクの外側に、熱々のうまみのある中身の料理って、最高であります。
ハフッ、あつっ、などといいながら食べたい。

大人になってみておいしそうに見えてきたニシンのパイ含め、いつもジブリ作品には魅力的な食べ物や料理が出てきますね。

 

当記事は、以前自分が別サイトに書いた記事の移転になります。
別サイトでの公開日:2019/10/08

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Saeka Kadomatsu
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この記事を書いた人
門松冴果

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映画と文(ぶん)が好きな物書きです。小説を書いています。

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