エッセイ:ホヤ

ホヤ エッセイ
スポンサーリンク
~故・伊丹十三監督風の文体(というよりは語尾)で書いてみるエッセイあるいはコラムのようなもの~

 

「嫌い」というよりは「苦手」と表現されるほうが多そうなホヤ。

イメージでいわせてもらえれば、害や不快をあたえられるところまでいかないにしても「受けつけぬ」のが「苦手」というものであろうか。
であれば、ホヤが苦手とは、これ納得。

というのも、ホヤは、受けつけるのに時間がかかる食べ物かと思う。
見た目、味、なじみのなさ、などから。
いったん受けつければいつの間にかホヤの魅力にとりつかれてることもありましょうが、それまでがなかなかハードルが高そうな海の珍味・ホヤ。

 

私は三陸の生まれでありますので、食卓にホヤが並び、じいさんがうまそうにホヤを食しているのを見て育つ環境にあったりしたものですが、それでも自分がホヤを食えるようになったのは社会人になってからでしたね。

まずホヤを食べてみようと思わなかったのですね。
ホヤを食べるしかない状況であれば食べましたが、飽食の時代の下、そういう状況ではなかったのである。

 

ホヤは全国的にはなじみが薄い。
それでも人によってはホヤにトライしてみるかと思う時期がやってきて、エイヤと口に運んでみて、少しずつ何度か食べてみて旨いかもと感じてクセになっていくものかと思います、多くは。

ホヤを初見・初食いで大好きになるほうが珍しいと申せましょう。

多くは味や見た目に慣れる前に「苦手」と切り捨てるかもしれない。
それか「くさみがある」と感じてしまわれるか。この解決策は新鮮なホヤを食べるにかぎる。新鮮であるほどくさみなくホヤ本来の味を味わえる。

 

ホヤ本来の風味とはどういうものかといえば、これは一言で表すのはむずかしいのであります。

生ホヤを食べてみて初めは「???」となる。
ほかの何の味とも似ぬ。
ソフトに弾力のある「身」は磯の風味もありつつ、食した後に水を飲むと水が甘く感じるというなんとも不思議な甘みや爽快感もあり、そして少し身にへばり残った内臓が苦みがあり旨みがあり、こういったホヤを食してみれば複雑で芳醇な風味が鼻を抜け・口に広がりますので、とにもかくにも、このように情報量の多い味です。

おいしい、おいしくない、などと思う前に奇妙さに包まれる。
ホヤは弾力があるものだからすぐには嚥下することができずに、よく噛んでみる勇気、飲み込んでみる勇気、もホヤ挑戦者に問われる。
これはまさに珍味です。

 

ときにホヤは複数の調理・加工方法で楽しめる。
生で食べる以外にも、ボイルしたホヤ、ホヤの塩辛、乾燥させたおつまみホヤ、など。レシピを探せば様々ある。

・ボイルしたホヤは殻のエキスを吸って旨みが凝縮、身も凝縮して生よりも食べやすい食感になり、ワインにも合うでしょう。

・ホヤの塩辛は生ホヤの食感が残っているので、生ホヤの食感が好きであれば塩辛もよいでしょう。酒の肴としてもどうぞ。

・歯ごたえがあるのが乾燥したホヤ。旨みをギュッギュッと噛みしめる。あたりめなどと同じく、鼻腔に磯の風味を抜けさせたい気分のとき(などありましたら)、そんなときに合いましょう。

 

調理・加工方法によって食感や味の濃さが変わってくるので、たとえば生が苦手でしたらボイルされたホヤから攻めてみるのもありでしょう。ホヤの天ぷらなどもあります。

とはいえ、どんな調理方法かよりも重要になってくるのは、まずは「鮮度」であります。鮮度命。
とれたての生ホヤか、もしくは鮮度のよいうちに加工されたホヤを食べたいものです。

私の話でいえば、昔はホヤを食べたいとは思わなかった。
初めて食べたころは「?」と、よくわからなかったのであった。
しかし現在はホヤが食べられるようになった。ホヤが好きになった。

これもひとえに「鮮度のいい」おいしいホヤを食べてみるのを重ねてみたからであります。
鮮度がよくなければ、くさみがあれば、苦手になっていたにちがいない。

 

ホヤに興味を持たれましたら、どこかで「新鮮な」ホヤをお食べください。
鮮度のいいホヤを何度か食べていくうちに、ホヤにハマるときがくるかもしれぬ、のです。

三陸に旅行にいくときなどに楽しみな味が一つ増えると思えば、ホヤのおいしさを知っておくのも悪くないでしょう。

 

 

当記事は、以前自分が別サイトに書いた記事の移転になります。
別サイトでの公開日:2019/10/15

+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
Saeka Kadomatsu
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

エッセイ
スポンサーリンク
この記事を書いた人
門松冴果

Saeka Kadomatsu
映画と文(ぶん)が好きな物書きです。小説を書いています。

門松冴果をフォローする
ものかきシアター
タイトルとURLをコピーしました