先日、映画『沈黙 ―サイレンス―』を観たわけですが。

映画館での鑑賞から一ヶ月弱ほど経過し、いま一番印象に残ってるのが、「井上筑後守」役のイッセー尾形さんの演技です。
劇中では、悪役のボスとして登場する井上筑後守。
どんなキャラかというと、スネ夫がドン底を経験して、そこから這い上がって、酸いも甘いもかみ分けて、何かを捨てて大物にのしあがり、老人となった、そんなキャラです(あくまで個人的イメージ)。
YouTubeに、井上さま降臨のシーンがアップされていたので貼っておきますね(公式)↓
セリフ回しとか表情とか おもしろい。
5回は再生しました。きっとまた再生します。
そのうち当シーンの井上様のセリフをそらで言えるようになるかもしれない。
具体的にどの辺がおもしろかったか、箇条書きにします。
動画の井上様のおもしろポイント
- 日本語で「つらい。土ぼこり。今年は一際ひどい」って言ってるところが、唾を飛ばすような籠もったしゃべり方で、ルーニー・テューンズのダフィー・ダックを連想させる。
- 水が欲しいとき、立ち上がりたいとき、部下たちに命令するんじゃなくて「あっ、あっ、あっ」と幼児みたいに甘えるところが滑稽でいい。
- 「途方に暮れることはない」の「途方」を言うときに、「とほほ」と笑うみたいな顔になるのがおもしろい。
- 「お前は何を言う!」の「言う!」と、相手を罵る「YOU!」を、ひとまとめにした部分が手っ取り早い。
- ほかに気に入ったところ → 「こちらの考えにィ」のところとか、「nothing」で声が裏返るところとか、「Isn’t that so, パードレ, isn’t that so?」の言い方とかも好きです。
- 最後、「their suffering」と言った後に、眉毛を上げながら天を仰ぐのも乙なものです。
3分ほどのシーンで、こんなにも特筆すべき点が出てくるのはスゴイ。
井上筑後守の英語の発音を聞いて、演じているイッセー尾形さんは普段から英語がイケる口なのかなと思いました。
しかし、イッセー尾形さんは英語が得意ではないそうです。
映画のセリフの言い方は、スタッフからレクチャーされたそうです。
一言一句教えてもらい、単語のイントネーションや会話のリズムをつかみ、さあ撮影するぞっていうときにセリフが変わることもあって大変だったみたいです。
特に動画のシーンは長ゼリフで大変だったようですが、浅野忠信さん(通辞役)はもっとセリフが長くて大変そうだったと、ラジオでイッセー尾形さんが語っていました。
また、同ラジオで、撮影が台湾でおこなわれていたことや、撮影現場がシーンとしていたことや、井上筑後守は今でいう防衛大臣クラスでかなりトップクラスの役人だということなども話されていました。
このラジオのパーソナリティーが高田純次さんだったのですが、あいかわらず高田さんがおもしろい。
ゲストのイッセー尾形さんに、「僕と尾形君は5歳ちがうんだよね。前会ったときも5歳ちがいだったっけ?」
日本のドラマ撮影では「やり過ぎ」と言われるイッセー尾形さん。そんなエピソードを受けて高田さんが、「俺やり過ぎないから。高田さん、やらなさ過ぎですよと言われるから」
「俺、英語ペラペラだけど意味はわからないんだよね」
さすがの高田節。
ともあれ、イッセー尾形さんの井上様は観てて楽しいです。
映画「沈黙―サイレンス―」の内容がシリアスで凄まじい中、井上筑後守が世界観を崩しはしない滑稽さを滲み出しています。