インド映画『きっと、うまくいく』を観ました。
この映画、控えめに言って最高でした。
なんていう出来なんでしょう。
超絶楽しめました。
インドのみならずアメリカでも日本でも評判がよく、もうこの作品のおもしろさはワールドワイドなのかもしれないです。
内容紹介
日の出の勢いで躍進するインドの未来を担うエリート軍団を輩出する、超難関理系大学ICE。エンジニアを目指す天才が競い合うキャンパスで、型破りな自由人のランチョー、機械より動物好きなファルハーン、なんでも神頼みの苦学生ラジューの“三バカトリオ”が、鬼学長を激怒させ、珍騒動を巻き起こす。 抱腹絶倒の学園コメディに見せつつ、行方不明のランチョーを探すミステリー仕立ての“10年後”が同時進行。根底に流れるのは学歴競争。加熱するインドの教育問題に一石を投じ、真に“今を生きる”ことを問いかける万国普遍のテーマ。
(引用元:Amazonプライム)
上記のAmazonプライムの内容説明、読んでて素晴らしいと思いました。この映画のポイントをうまく要約しています。
「実におもしろい」映画
英語タイトルは『3 Idiots』、3バカというタイトルです。
コメディ要素満載で「funny」的なおもしろさもふんだんにあり、「interesting」的なおもしろさもあります。
実におもしろい。実に興味深い。です。
インドのトップレベルの工科大学が舞台ということで、工科大生ならではの活躍があります。
たとえば、自分の家の前に放尿する人間を感電させてやっつける仕組みを簡易的に作ったりとか。
あと、こんなことも。主人公の恋人の姉が大学周辺で産気づきました。そのとき外は豪雨で病院に移動できなく、救急車も来られない状態でした。生徒や妊婦の父親である大学学長ら「男性」たちしかいない中、学生寮の集会室の卓球台の上で「お産」させることを決意します。
テレビ電話で主人公の恋人(=医者の卵)や、看護婦たちと連携をとりますが、恋人姉は難産で赤ちゃんの顔が出てきません。
吸引機で引っ張り出さなければならなくなる。しかしそんな物は大学の寮にはなく、工科大生たちは掃除機を改造して吸引機を作り出すことにします。
が、そんな矢先。落雷により、停電になってしまいました。
テレビ電話がストップ。携帯電話は通じるも、恋人や看護婦たち側に映像が届かず、お産の指示も困難に。電気が通じないままでは掃除機(吸引機)も使えなくなります。
非常にピンチの状態ですが、そこから工科大生たちの快進撃が始まります。
車のバッテリーを集めて、つないで、インバータを介して電気を起こしました。
「キーボード内にたまった埃をしゅこしゅこ吹き飛ばす道具」を半分に切り、それを掃除機のストレートパイプの先にセットし(トイレのスッポンのような形になる)、吸引機を作り出しました。掃除機だと吸引力が強すぎるので、パワーを調節できるよう、あっという間に改造までしました。
テレビ電話にて女性たちから、吸引力の強さや、妊婦のお腹の押し方などについてアドバイスをもらいながら、赤ん坊を母体から誕生させることに成功します。
全員が喜びに湧きます。しかし、誕生した赤ん坊が泣きません。背中をさすっても泣きません。
全員が一転途方に暮れますが、ある言葉をきっかけに赤ちゃんが反応し、そして赤ちゃんが泣きます。
それが、なるほど、伏線を張っており、納得がいく展開で、「おおっ!」と膝を打つような、実に「これだ!」としっくりきたミラクルだった。
困難な中で赤ちゃんが誕生しただけでも一山越えた感情の解放があった。その上に、もう一個もう一個観客を驚かせるようアイディアが盛り込まれていて、全体を通して観る者を楽しませる工夫や演出が散りばめられている作品だと感じました。それがバツグンにきいているので、もはやこの映画を好きにならない理由が私にはなかったです。
この映画のストーリーの構成や展開には、ただ頭が下がるばかりでした。
そのストーリーの完成度たるや、『ショーシャンクの空に』以来の衝撃
ストーリーの構成や展開が素晴らしかった過去の映画作品として、『ショーシャンクの空に』を例に出します。
『ショーシャンクの空に』を観たときは、あまりに完成度の高いストーリー展開に舌を巻いたものでした。
スティーヴン・キングの原作があってのことではあるのですが、それにしても映画の脚本として非の打ちどころがなく、これはもう賞賛を送るしかない作品でした。
たとえば、映画『ベイブ』の牧羊犬コンテストで、審査員全員が「犬」ではなく「豚」であるベイブに100点満点のカードをしがらみを捨てて掲げたように、「これには満点をあげざるを得ない」とひれふすパフォーマンスや芸術というものはあって、わたしのなかでは『ショーシャンクの空に』のストーリーがそのひとつでした。
ドラマチックさ、見事。伏線の回収、見事。どんでん返し、見事。とにかく見事な展開で、ドドドドドッと排水口の水が流れるかのごとく怒涛のたたみかけでこちらの琴線を掻き鳴らしては、カタルシスをうながすうながす……。
とまあ、『ショーシャンク~』は、それほどわたしにとっては完璧なストーリーを見せつけられた映画だったわけですが。
『きっと、うまくいく』は、『ショーシャンクの空に』並に衝撃を受けました。
おもしろい、本当によくできているストーリーだと思います。
インドの学歴社会のプレッシャーによる学生の自殺の問題などにもフォーカスしています。
また、自分のやりたいことや本当の自分を見つけ出すテーマもあるので、日本人でも大いに共感できると思います。
ストーリーだけでなく、音楽とダンスのシーンも楽しめました。
かなり楽しいミュージカルシーンがあります。
ミュージカルシーンが楽しい
邦題「きっと、うまくいく」の由来となったのは、「All is well」という言葉です。ランチョーふうに発音すると「アール イズ ウェル」。この言葉は作中でひんぱんに出てきます。
All is wellというタイトルの曲もあり、その曲に合わせて登場人物たちが歌って踊る楽しいシーンがあります。
YouTubeにそのシーンの動画がありました。
学長の娘がランチョーに恋に落ちたときのミュージカルシーン(ズビドゥビ)も、いかにもインドっぽくて楽しいです。
ズビドゥビでの学長の顔芸はおもしろかった。学長はじめ脇役たちもいい味出してる、この映画。
主人公ランチョー役のアーミル・カーンの存在感
『きっと、うまくいく』では、魅力的な登場人物がたくさん出てきます。
なかでもやっぱりひときわ存在感があって魅力的だったのが、主人公・ランチョー役のアーミル・カーン。
トム・ハンクスを彷彿とさせる、スッと目を引く顔立ちのアーミル・カーン。(エミネムに似てるという声もあり)
なんと、『きっと、うまくいく』では、44歳で大学生役を演じきっていました。
(ランチョーの親友役のふたりも、当時39歳と30歳だったそうです。眼鏡をかけている親友のほうが39歳です)
大学生でもまったく違和感なし。若い、というより、すごい。
あとがき
とにかくおもしろかったこの映画。
笑いあり涙ありで、3時間弱のけっこう長い作品ですが、ぜんぜん飽きずに観ることができました。
観た後にスッキリ爽快で前向きな気持ちになりました。
インドの勢いを感じた映画作品でもありました。